株式会社サイバー・バズが運営するヘルスケアサイト「Doctors Me(ドクターズミー)」は、もともとユーザーが医療従事者に相談できるQ&Aサイトとして誕生しました。2014年4月、サイバーエージェントから移籍し、その運営に携わり始めたのがSEOコンサルタントの田中啓介さんです。「『安心を身近に』というサイトのコンセプトを、もっと多くのユーザーに届けられるように」との想いから、Doctors Meをメディアとして生まれ変わらせます。約300名ほどの医師のネットワークと連携し、すべてのコラムや病名辞典を医師が監修。信頼性の高い情報を発信する中で、ついに担当就任当初の3倍となる約2,000万PV/月を達成しました。「この実績を後押しした要因の一つが、ミエルカの導入です。『蓄膿症』がテーマのページは導入前、圏外でしたが、対策から2週間程度で検索順位2ページ目に。1カ月半で3位になったときは、感動しました」と田中さん。ご本人に詳しくお話を伺いました。
「Doctors Me(ドクターズミー)」をメディア化した理由を教えてください
医療系のコンテンツはWeb上にたくさんありますが、口コミなど不確かな情報も多いのが実情です。Doctors Meは当時、Q&Aのアプリケーションという位置づけでしたが、医師がユーザーに対して直接、回答や情報を提供できるのが強みでした。体にかかわることなので、信ぴょう性の高い情報を届けたい。そこで、病気についての症状解説ページやコラム、など、ヘルスケアに関するコンテンツを集めてQ&Aのアプリケーションを備えたメディアにしたいと考えたのです。発足当初から、すべてのコラムや病名辞典に医師の監修を入れることも重要視しました。
ミエルカ導入以前のお悩みはどのようなものでしたか?
サイト設計やコンテンツの追加等、ある程度の施策は自分で打てていました。
一方で、足りなかったのは「分析」です。どういうコンテンツを優先的に入れるべきか? コンテンツを投入して流入が伸びたが、もっと伸ばせるものなのか? この施策は全体に効いているのか、効いていないのか? そういった分析がウィークポイントでした。そんなときに出会ったのがミエルカです。
導入の経緯を教えてください
インハウスSEO担当者向けのセミナーで、副島さん(ミエルカ開発チームリーダー・副島 啓一)のプレゼンを聞いたのがきっかけです。
私が今までSEOをやってきた経験からも、ミエルカがサイトを評価する際の4つの指標「集客力」「閲覧力」「誘導力」「成果力」という考え方が、とてもしっくりきました。志向がぴったりと合い、直感的に「使ってみたい」と感じたんです。
トライアルはされましたか?
はい。デモの際、副島さんご本人がいらっしゃったのでびっくりしました。「開発者自らプレゼンに来たぞ、それだけ力を入れてくれてるんだな」と(笑)。このデモで「いけそう」「使えそう」と思ったので、トライアルを経て、導入を決めました。
まず取り組んだ課題は何でしたか?
当時たまたま、急にサイト全体の流入数が下がるという“事件”がありました。原因はサイトのどこかにある。でもなかなか見つからない。サイトが大きく、目星をつけるのが難しかったんです。
そこで副島さんに相談すると、ミエルカとGoogle Analytics(グーグルアナリティクス)、Google Search Console(グーグルサーチコンソール)、この3つを使って分析する方法をみっちりレクチャーしてくれました。このアプローチによって、原因が判明し、すぐに手が打てたんです。副島さんのツールの見方、分析の仕方…すべてレベルが違うと、その時感じました。
【弊社担当コンサルタント:副島より】
サイトの種別や規模に応じてツールの使い方は違いますが、一定規模までのサイトなら、ミエルカのソリューションを利用することで、当たり所が比較的簡単に見つけられます。ツールだけでなく、勉強会やサポートも実施しておりますので、原因特定にかけるリサーチコストを短縮できるのが、ミエルカを使うメリットの一つではないでしょうか。
サポートはどのように利用されましたか
対面のミーティングは月に1~2度。そのほかはオンラインです。Facebookのチャットで副島さんにポンと相談を投げると、同じ社内にいるようなスピード感でポンポン返事が返ってきました。副島さんはすごく寄り添ってやってくれましたね。とても相談しやすかったです。
副島
オンラインのサポートのほうが、実は対面より早いんですよ。会議室で時間をかけてお話しするより、思いついたときに画面共有しながらサクサク進められますから。
次の施策として、「蓄膿症」のコンテンツを戦略対象に選ばれたそうですね。狙いを教えてください。
「蓄膿症」は、月間約9万の検索ボリューム(Google AdWordsキーワードプランナーより)があり、きちんと施策すればトラフィックが集まるはずでした。しかしコンテンツを用意しても長らく圏外の状態が続いていました。仮説はいくつか立てていましたが、よく原因がわからなかったんです。その謎を、ミエルカを使って一つずつ紐解いていこうと考えました。
ミエルカでどんな機能を使われましたか?
まず使ったのは「共起語4.0機能(※1)」です。
※1:対象ページのURLと関連キーワードを入力すると、そのキーワードと併せて検索されているワード(共起語)と自社コンテンツの順位が表示される機能。
自社のコンテンツだけでなく競合も調べられるので、検索上位のコンテンツと比較して自社にどのテーマが足りていないか(順位が低いか)が一目でわかり、原稿をリライトするときの参考になりました。
競合サイトが「鼻腔炎」や「症状」など、蓄膿症を語る上で触れておきたいキーワードで1位を獲得しているのに対し、私たちのコンテンツはそれらが欠けていることが分かりました。「上位の他社サイトにあってうちのサイトにはなかった重要なテーマのヒント」を、ミエルカが、その差分を含めてはっきり示してくれたんです。
次に使ったのが「サジェストキーワードネットワーク」(※2)です。
※2:自然言語処理技術を用いて、Googleのサジェストキーワードを「関連性」や「検索頻度」などに基づいてマッピングする機能。
これ、視覚的に面白いですよね、マインドマップみたいで。でも情報がバッと出ただけでは、活かし方が想像できませんでした。で、ちょっと放置していたところ、副島さんから「ネットワーク、使ってますか?」と連絡をいただきまして(笑)。「どう見ればいいでしょう」と聞いたところ、グルーピングのやり方を指南してくださったんですよ(下図)。理解できたとたん、「これはヤバい、すごいな」と。衝撃が走りました。
私たちのコンテンツは、ヘルスケアに関するある程度の基本情報は押さえられていたけれど、
・治療の方法と期間
・市販薬
・漢方
・ツボ
など、ユーザーが求めている「いち早く治す方法」に十分答えられていないことがはっきりしました。ネットワークを使ったことで、「ユーザーは何を知りたくてここへ来たのか」というストーリーが見えてきたんです。
どのようなニーズが発見できたのでしょうか
そもそも蓄膿症は、頭痛やニキビなどに比べると身近なワードではありません。最初から「蓄膿症」と調べるのではなく、「鼻 痛い」「鼻水 頭痛」などから入り、「蓄膿症」というキーワードにたどり着きます。つまり、「蓄膿症」というキーワードで検索した人は、すでに「蓄膿症とは何か」を把握していて、症状や原因ではなく、「とにかく早く治したい」という心理状態にあるわけです。実際の検索結果画面も、治療寄りの情報が多かったのですが、その理由を改めて実感しました。ただ、ユーザーの検索意図の仮説を立てても、いざグルーピングしてみると迷うんですよね。教わってほかのワードでもコンテンツを作り出しているんですけど、同じようにはいかない。練習しないと難しかった印象です。
副島
自分のサイトでは客観視できずに、迷うことが多いです(笑)。
コンテンツマーケティングにおけるキーワードの分類は、Webマーケターが語感を磨き、ユーザーニーズを把握するのにとてもいい題材ですよね。ここはシステムで機械化しづらい部分ですから。
では、すぐにコンテンツの改善に取りかかったんですね。
いいえ。副島さんからいただいたアドバイスがもう一つありました。「上位サイトがすでに網羅している情報は、説明して当然。でもそれだけでは、同質化してしまい、差が出せない。なにより重要なポイントは、+αの提案を加えること」というものです。
そこでネットワークをもう一度見直すだけでなく、上位サイトのコンテンツ内容の検証やユーザーへのヒアリングを行い、
・子どもと蓄膿症
・頭痛と蓄膿症との関連
・色や出方など「鼻水の状態」
についても追加することにしました。
副島
SEOに関わるマーケティングは、「検索ユーザーに必要とされる情報はなにか?」を、とにかく観察し続けることに尽きると思っています。たとえば、朝起きたら対象のキーワードを調べる。習慣化する。すると「昨日は上にあったサイトが下落したな」だったり、「新しいサイト出てきたな、なんだこれは?」だったり、きっかけがつかめると思うんです。
リフォームしたコンテンツ投入後、効果はすぐに出ましたか?
対策して1週間ほどで20位前後まで一気に上がりました。その時、「やっぱり来たな」「ちゃんとやれば評価されるんだ」という実感が得られました。
20位から2ページ目上位までは徐々に階段を上がり、1ページ目に入ってからは、さらにジワジワ時間をかけて上昇。そしてついに3位になったんです。
圏外だったコンテンツが1カ月半で検索順位3位。どのような思いでしたか?
それぞれの段階で喜びはありましたが、やはりインパクトが一番大きかったのは3位になった瞬間です。ずっとパートナーのようにやってきてくれた副島さんにも、この感動を味わってほしくて、すぐ報告しました。社内の反応もすこぶるよかったです。私に信頼を置いてSEOを任せてくれた中で、単体ワードでファーストビューに入る実績をまず一つ、作ることができた。これは大きかったです。すでに「はやく2位にしてよ」という声ももらっていますが(笑)。
現在はサイト全体の70%が検索経由だそうですね。
はい。全体的な流入キーワードを増やしていく中で、全体で月間約2,000万PVを達成できるようになりました。そこにもっと上乗せして、流入の窓口を広げたいと始めたのがコンテンツの改善です。
今回、私たちは「蓄膿症」で良い結果を出せましたが、今度は下位のサイトを迎え撃つ立場になっています。SEOに同率の勝利はありません。攻めと守りのバランスを見極めながら、ミエルカを駆使して勝ち続けたいですね。
田中さんにとって、ミエルカはどんなツールでしょうか。
SEOに取り組む会社、コンテンツで流入を稼ぎたいサイトにはおすすめです。実際に、知り合いのSEO担当者にもすすめています。
ただ、検索順位を勝手に上げてくれるツールなんてありません。ミエルカも、使いこなして初めていいアウトプットができるツール。だれでも簡単に使えるものならば、競合も同じように簡単に使えるので、差が出ないはずです。人が介在する価値があるからこそ面白い。そういった意味でミエルカは、「SEO担当者にやる気を出させるツール」だと思います。
使いこなすためのカウンセリング、サポートも重要ということですね。
本当にそうだと思います。実は最初の頃、ミエルカを触る機会は少なかったんですよ。時間を見つけて、仮説を立て、手を動かして、操作を覚えながら検証する。そうしてこそ結果につながりましたが、通常業務に埋め込むまでには、少しハードルがありました。でもちょっと時間が空くと、副島さんから「この機能は使っていただいていますか?」とメッセージが来る (笑)。こっちも本気でやらなければと感じました。それがサポートとして正しい姿だと思います。アプローチしていただいたおかげで、いま結果が出せているので。
副島
最初のレクチャーだけではやはり、難しいと思います。お客様には成果を出していただきたいので、時々背中を押させていただきました。ここから先、今度は田中さんが社内で別の方にミエルカの操作を教える段階に入られると、横展開でさらにパフォーマンスを上げられるのではないでしょうか。操作をわかりやすく解説した動画マニュアルもリリースしましたので、ぜひ組織でのマーケティング学習にご活用いただけるとありがたいです。
動画マニュアル、いいですね。この間リリースされた共起語5.0機能のヒートマップもそうですけど、ミエルカはバージョンアップのサイクルがとても速い。私も全機能の30%ぐらいしか使いこなせていないと思います。全部フルで使いこなしたら、もっと結果が出せるはず。そのために、使いこなす時間を自分で確保しないといけないと思いますね。
最後に、Faber Companyへ期待することがあれば、お聞かせください。
Faber Companyさんは「各領域の第一人者が集まったプロ集団」というイメージです。ミエルカはその人たちが企画して開発したツールなので、疑いようがない。実際に今回、使って本当に驚きました。
でも御社には今後、もっと驚かせてほしいですね。「こんなことまでできるのか!」という、レベルの違いを見せつけてほしいと思います。それが、これだけのプロが集まっている会社の使命なのではないでしょうか。
副島
ご期待に応えられるよう、努力を続けます。ありがとうございました。
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